世界には秀逸なデザインにより時代を切り開いた製品があります。
 
時代のアイコンとなり、その製品特有の機能美からその後長く愛されるような製品。
 
 
これらの製品は、多くの人に真似されます。
 
何度も真似され、改良を加えられ、時に追い越されていくこともあります。
しかし哲学のある製品は決して錆びません。
 
 
 
その一つにイームズのシェルチェアがあります。
 
イームズのシェルチェアはチャールズ&レイ・イームズ夫妻が1960年代に制作した世界で初めてのガラス繊維を含んだプラスチック成形にて作られた椅子です。
 
 
デザインは非常にシンプル。汎用性を意識したデザインであらゆる生活様式、シーンに溶け込むデザインとなっています。
お尻にフィットするように成形された座面と座った際に背が少し曲がるような柔軟性を持った背。
ガラス繊維を含むプラスチックは適度な柔軟性で心地よい座りごちを提供します。
私もかれこれ6年以上愛用しています。以前はタスクチェアとして今はダイニングチェアとして使っています。
 
 
 

 
イームズチェアは本当によくコピーされます。
意匠権が切れている為、レプリカ品は合法との説明をされている店舗もありますが、正確には違います。
そもそも日本での意匠権は出願すらされていません。また「EAMS」の商標権に抵触している店舗も見受けられます。
レプリカ売買はとてもグレーな分野です。
 
 
ただ法や倫理はどうであれ実際にレプリカは販売されておりよく売れています。
正規品は5〜6万円ほどしますがレプリカであれば3000円くらいから購入できます。
 
 
 
私はこれまでいくつものレプリカ品を試しました。レプリカ品の中にも品質のばらつきがかなりあり、その中にはかなりよくできたものもありました。
ただよくできたレプリカは多少値が高く30,000円を超えるものもありました。
 
多くはレプリカはやはりレプリカという品質。
ただ単に形を真似したものが多く、坐り心地や細部のつくり、素材感が全く異なります。ただ形が似ているだけです。
 
 
イームズチェアは確かに万人受けしそうな可愛いらしい形をしています。
この形を買いたい人は確かに数千円のレプリカ品で良いのかもしれません。
また「正規品とレプリカを比べても違いがわからない」という人もいるかもしれません。
であればレプリカ品で良いかもしれません。自分が価値を見出せないものにお金を払う必要などないのですから。
 
 
ただイームズチェアの体験を暮らしに入れるのであれば正規品が良いと思います。
製品の持つ本来の意志は正規品にしか宿らないのは確かです。
デザインとは形の話だけではなく、世界への価値提供の手法であり、そこには哲学、テクノロジー、機能、ユーザー体験が含まれます。
 
シンプルで場所を選ばない椅子、日常に心地いい座り心地。
私はやはりEams のシェルチェアが好きですね。